ブラック研究室

T大生物系のブラック研究室について

生物系のブラック研究室について

自分の所属していた研究室の話をします。ブラック研究室にはいろんなカテゴリーがありまして、中でも有名なのはとにかく労働時間が長い「激務系研究室」、そして次に指導をなにもしない「放置系研究室」だと思います。私の所属していた研究室は「激務かつ放置系研究室」でした。Part1 - 3 で詳しく説明します。

 

【Part 1】

 

サビ残つき労働時間。コアタイム」制度がありまして、この制度では週6日x7時間は「出勤」して「タイムカードに打刻」しなければなりません。しかし、実際はこのコアタイムの他に「サービス残業」が求められます。なにがサービス残業かというと、普通ならコアタイムは守って、コアタイムに終わらなかった分だけ居残って実験をするのだと思いますが、当研究室では、実験や研究の有無にかかわらず、とにかく一日平均12時間まで働かなければならない。つまり毎日5時間の無意味な時間・・・することがなくても研究室に滞在していないといけない時間・・・企業で言う「上司の帰宅待ちサビ残タイム」のような制度があるわけです。早く帰ると、後から説教されます。というのも、研究室の全員がお互いのタイムカードを観覧可能であり、教員たちは仕事の片手間にタイムカードを監視しています。不自然な打刻をしている生徒を見つけたら、電話をかけて行動を確認します。早く帰ったら教授にチクります。一度、VPNを構築して自宅から打刻を試みた勇者がいましたが、研究室専属ITスペシャリストによって捕まりました。ちなみに祝日は休めますが、留学生に限っては「外国人に日本の祝日はあてはまらない」とかとんでも理論を持ち出し、彼らは年中ほぼ無休で働いています。さらに、博士に進学するとサビ残タイムが日曜日にも作られるので、ほんとに無休です。

 

お前のグラントも俺のもの。普通の研究室ではポスドクが個々にグラント(研究費)を獲得して、それを各々の研究のために使います。教授も、自分でグラントをとってきて、それをポスドクに配ったり、全体をとりまとめて指導や指揮を行います。しかし、当研究室ではポスドクが集めてきたグラントがまず教授によって吸収されて、それを教授がポスドクに配ります。この制度のなにが悪いかというと、教授に財布を握られているからポスドクは好きな研究がなにもできません。さらに、せっかくとってきたグラントを、研究とまったく違うところに使われてしまいます。うちの教授の場合、とにかく権力が大好きで、「王様」になりたがる人なので、ポスドクがもってきたグラントを使って研究室を拡大しまくりました。おかげで、近年では50人近くが在籍する巨大研究室になりました。秘書を何人も雇って教授室をハーレムにしました。そして、その分研究の質は下がり、ポスドクの「使い捨て感」が強くなりました。

 

留学生という名の出稼ぎ研究生。当研究室はほとんどが留学生です。うちの教授と外国の教授の間になにやらグレー臭のする「約束」があるらしく、同じ大学の同じ研究室から毎年数人の留学生が送られてきます。この留学生たちにはまったくなんの非もないのですが、とにかく教授の扱いがひどい。留学生「留学生は日本人よりも働くべきだ」「なまけたら国に送り返すぞ」「君の国って粗悪なものばかり売ってるんでしょ?」「もっと○○人らしくしたらどうだ」などとモラルのかけらもないことをいう教授。彼にとって留学生は安くてこき使える労働力でしかありません。

 

密告制度・私語厳禁制度・被害妄想。研究室内の人間関係もひどいです。研究室内には私語厳禁のような雰囲気があります。例えば生徒A、Bが仲良くしていて、Aがなにか失敗して先生を怒らせたとします。実は教員よってAとBが最近よく話しているということはすでに先生に情報として提供されています。でえすので、Aが失敗したとき、それはBの影響じゃないか?Bも悪いんじゃないか?Bも呼んでこい、二人まとめて説教する。という展開になります。特によく問題を起こしている生徒は「俺に近寄るな話しかけるな、話しかけたらお前も叱られるぞ」などを周りに忠告してあげるのがせめてもの優しさです。

 

そこら中に、地雷。地雷が異常に多いです。飲み会で礼儀作法を一つ間違えたら地雷。教授へのメールで敬語を一つでも間違えたら地雷。先生の機嫌が悪い時に自分の研究について相談したら地雷。先生の前で消しゴムを落としたら地雷。地雷を踏むと、先生から数時間の説教を受けます。ひどい場合は、まずは、みせしめとして他の生徒数人の前で説教。そのあと、秘書を使って自分を援護させながら説教(○○君はほんどに最低だな。秘書君もそう思うよね?等)。そして最後に研究室のメンバー全員があつまる場で、説教。このフルコースを受けると大体の人が精神病になります。いじめみたいなものです。

 

無意味な会議。毎週6時間、無意味な会議があります。教授は会議中、ずっと昼寝をしています。論文紹介をしても、研究報告をしても、ほとんどディスカッションをせずに終わります。二年間通ったけど教授が研究について話してるのを見たことがない。

 

[Part2]へ続く